今月、そんな試算を、オリックス、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント、ベーカー&マッケンジー法律事務所の3社が1つの資料にまとめた。(以下、OCB資料)。それを基に発電側基本料金問題の深層に迫る。

 まず、経緯を把握するために時計の針を巻き戻そう。

 2012年、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱などによる発電)に固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、国のお墨付きにより一定価格で20年間電気を売れるようになった。中でも太陽光発電は、他の再エネより初期投資のハードルが低く事業者が爆発的に増えた。

 一方で、分散型の発電所がたくさんできたことで、発電した電気を各地に送る送配電網(例えば電線など)に接続する系統連系のニーズが拡大した。しかも、今後は人口減少で電力需要が伸び悩むという予測もある。そのため、いずれは老朽化する送配電設備の維持管理コストが課題となっていた。

 通常、電気は送配電設備を介して発電事業者→送配電事業者→小売り電気事業者→一般消費者というかたちで流通している。その流通コストは現在、「託送料金」として、電力会社などの小売電気事業者(その先の一般消費者)が100%負担している。

 将来、この送配電設備が古くなって維持管理コストが増えれば、国民負担(電気料金)が高くなる可能性がある。

 そこで、善後策として受益者である発電事業者にも、例えば100のうち10だけも負担を分かちあってもらい、早めに整備コストの財源を確保する。かつ、一般消費者(国民)の電気料金は増えない仕組みにする。

 そんな狙いから編み出されたのが、今回の発電側基本料金という訳だ。

既稼働6000億、未稼働4000億
明らかになった負担の全貌

 ここで問題となっているのが、FIT価格が高かった2012年7月から15年6月の利潤配慮期間、いわゆる「プレミア価格」(売電価格29円、32円、36円、40円)の案件が狙い打ちされていることだ。

 例えば火力や原子力など昔からある非FIT電気は、小売り電気事業者への卸価格に転嫁できる「調整措置」というものができる。そのため影響が少ないと見られている。