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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

やる気のある中国人社員が去っていく
彼らを使いこなすために考えるべきこと

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第116回】 2012年8月9日
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 現在、中国出張中。日本の銀行関係者や企業関係者を連れて、長江デルタや山東省、安徽省などの地方都市を超過密スケジュールで訪問しているところだ。同行する日本人のほぼ全員が上海や北京を訪問した経験をもっているが、地方都市を訪ねた経験はなかった。その分、みんなが地方都市での発見とビジネスチャンスに興奮を覚えている。中には、その場で中国の地方企業が私たちを追いかけてきて、次の訪問先の都市で商談を始めたケースもあった。

中国人社員が辞めるのは
果たして給与だけのせいか

 嬉しい発見がある一方、苦虫をかみつぶしたような表情を見せ、苦悩する企業関係者もいた。新しいビジネスチャンスが現れているにもかかわらず、日本本社では中国語で対応できる体制ができていないという悩みを抱えているからだ。その企業は岐阜に本社を持つリトルガリバー的な存在だ。業界では名が通っている。関係者の話によると、つい最近まで実は本社に中国人社員が2人勤務していた。だが、2人とも会社を去ってしまった。「中国東北の出身で、大連に帰ってしまった」という。つまり、日本企業の就職を蹴ってまで、機会を求めるために大連に帰ったのである。

 「原因は?」と私がさらに質問すると、「近くにトヨタが本社を構える名古屋があり、給与水準は岐阜より高い。岐阜の地方都市を去った中国人留学生の大半はトヨタなどの大手に入ってしまう」と関係者が分析する。「地方都市の給料は安いけど、地元の物価もその分安いのだが」と関係者が悔やむ。

 給料の問題も一因であろう。関係者の悔やむ気持ちは分からなくもない。しかし、私はそれを主因とは思わない。ちょうど私の周りに、岐阜あたりでは知られた、とある中堅ドラッグストアに勤めていたが、つい最近会社員という安定した生活を蹴ってしまった中国人女性がいる。

 数年前、この中堅ドラッグストアは中国人観光客をターゲットにして、これから展開しようとするインバウンドビジネスのために、地方に居住する彼女をそのスペシャリストとして中途採用した。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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