公開ではなく
情報隠蔽の一環
東京電力がようやくテレビ会議の映像を公開した。
昨年三月の東京電力福島第一原発の事故から一年半、それだけの年月を待ってようやく公開されたものは「公開」とは程遠い、言うならば「原則非公開につき一部だけ不完全公開」といった程度の酷いものだった。
ニュースサイト「news-log」(NOBORDER)でも、東電会見に出席し続けている芸人のおしどりマコ・ケンさんが、公開後、すぐにこの動画をアップしたが、それは閲覧の許される約150時間分のさらにごく一部の90分にすぎないというものである。
しかも、その動画では音声のない部分が大半であり、分割された5画面の中ではモザイクをかけた人物が何人も映っており、いったいこの公開にどういった意味があるのか大いに疑問が残る。
その疑問点は、東電が今回の「公開」をプライバシーや社内の機密情報保護のために制限を設けたという不完全公開を自ら宣言した説明である程度氷解するだろう。
会話を敢えて消去した部分が1500ヵ所以上もあり、公開ではなく情報隠蔽の一環、3月以降繰り返し東電取材をして筆者からすればそう断言せずにはおられない。
この酷い状況にさらに拍車をかけているのがメディア報道だ。さすがにこれを完璧な情報公開だと謳うメディアはないものの、その隠蔽された部分に具体的に突っ込んでいく大手のテレビ・新聞は見られない。
それもそのはず、そうした大手メディアこそが、東京電力の情報隠蔽に半ば加担し、ほとんど「犯罪行為」ともいえる放射能事故の現実に向き合ってこなかった張本人に他ならないからだ。