【前編】に続き、司法制度改革によって問題が噴出している弁護士界の現状を、どう考え、どう軌道修正していくのか、山岸憲司・日本弁護士連合会会長に聞いていく。司法試験に合格した司法修習生を国費で賄う「給費制」が廃止されたことについて、派閥によって弁護士界が牛耳られているのではないかという弁護士界内の懸念、法曹界志望者の減少によって学生集めに苦労し、なかには撤退する学校も出始めている法科大学院など、どのように日本弁護士連合会は考えるのか。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
法の支配を社会に浸透させる
その役割を担うのが弁護士
Photo by Masato Kato
――弁護士界にある法曹人口問題や法科大学院に代表される法曹養成制度の問題は、突き詰めて考えて行くと、「弁護士は社会でどのような役割を担う人なのか」というところに行き着くのではないだろうか。この答えがはっきりしていれば、ニーズが明らかになって、どのくらいの人数を毎年合格させるのか、どのような養成制度が適当なのか。議論になっている給費制(司法試験合格者の司法修習期間に必要な生活費などを国が支給する制度)の問題も、弁護士は国費で育てるべき存在なのか否かという答えが、自ずと出るように思う。司法試験についても、一部の弁護士から試験は一定の要件を満たせば全員合格するような制度にして、人数を制限すべきではないという声があるが、その声に対しても明確に応えられるのではないか。
「弁護士はどのような役割を担う存在なのか――」。その問いの答えは、はじめに答えた司法制度改革の理念のところで、だいぶお答えしていると思う。法の支配を社会に浸透させる、その役割を担う主たる存在だということだ。恣意的な権力の行使を排除する。法の下で平等な社会を実現するための人材だ。透明で公正なルールの下で紛争解決をするときの、主たる役割を担う存在だ。