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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

チームはみな、出世や年収のために働いているのか?
「8つの心の錨」で見抜くあなたと部下の真の価値観

――処方箋⑥「キャリア・アンカー」を認識してパフォーマンスを上げよ

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第6回】 2012年8月22日
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何のために仕事をするのか?
あなたにもある流されない「心の錨」

 「皆さんは、何のために仕事をしていますか? 最も重要な理由を1つだけ挙げてください」

 こう言われたとき、あなたはどんな回答をするだろうか。「お金のため」という回答もあるだろうし、「ある専門分野を極めるため」という回答もあるだろう。また、「家族とともに幸せに暮らすため」という考えもある。

 このように、仕事をする理由や価値観の中でもっとも重要なものを、「キャリア・アンカー」と呼ぶ。マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・シャインが考えた言葉だ。

 アンカーとは、船が使う錨(いかり)の意味である。錨がないと船は留まることができずに流されてしまう。キャリア・アンカーとは、仕事をする上での錨であり、それがなければ他のことに流されてしまいかねないほど重要な価値観や欲求を指す。

 シャインによると、このキャリア・アンカーを知らなければ、仕事には様々な困難が伴うという。たとえば、人事異動で営業職から事務職に移ることになった場合、自分にとって営業でのスキルを極めることがキャリア・アンカーならば、事務職への異動は非常に不快なものとなる。

 そんな職場でいやいや仕事をしていては、パフォーマンスも上がらない、ひいては、将来の昇進やキャリアアップにも響いてしまう。

 もう1つ、チームで仕事をする場合にもキャリア・アンカーを知っておくことが重要だ。チームのメンバーが仕事に対してバラバラな価値観を持っていては、チーム全体の方向性が定まらなくなる。そればかりか、お互いの価値観が違っていることすらわからないままコミュニケーションを取ろうとすると、喧嘩や罵り合いが起き、お互いの信頼が崩れてしまう。

 このコラムで何度も述べているように、現在は職場の人材流動性が高く、仕事に対する考え方も世代間でバラバラだ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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