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田中均の「世界を見る眼」

日韓関係の停滞は極めて残念
パートナーシップを建て直すための「4原則」

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第11回】 2012年8月22日
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驚くべき李明博大統領の竹島訪問
日韓関係の停滞を極めて残念に思う

 韓国の李明博大統領が竹島を訪問した。2008年に当時の韓国首相の訪問はあったが、国家元首である大統領の訪問は初めてである。

 新聞報道だけから見ると、慰安婦問題をはじめ日本は韓国に対する加害者の立場を理解していないから、あえてとった行動だという。さらには、仮に天皇陛下が韓国を訪問したいなら、心からの謝罪が必要だと公言したという。

 一国の指導者が国家関係の基本や過去の経緯に十分な配慮をせず、無遠慮な発言をし、行動するのを見て驚きを禁じえない。李明博大統領は、日本は韓国を植民地支配した加害者だから、被害者である韓国がどのような行動をとっても日本はそれを受け入れるべきだといった認識なのであろうか。

 国家関係は互恵の原則で成り立っている。韓国大統領のこのような言動は日本側の強い反発を招くのは当然であり、日本側が望むわけではないのに日韓関係は停滞していくこととなるのだろう。少なくとも、韓国で年末の選挙を経て新しい大統領が誕生するまで、日韓関係は凍結されるということであろうか。

 私は日韓関係を増進することが日韓両国の利益と信じ、外務省で長年にわたって努力してきたので、これを契機に日韓関係が停滞していくのは極めて残念である。

 ただ、やはり隣国韓国との関係は大変重要であり、以下ではできるだけ客観的に問題整理をしてみたいと思う。

 分断国家であり、北朝鮮という特異な国家を北緯38度線の北に抱える韓国にとって、米国、中国、日本との関係は複雑微妙である。韓国にとって米国は安全保障を依存する同盟国であるが、基地を巡る事件事故など時として反米感情が強くなる。

 中国は最大の貿易相手国であり、将来の韓国経済にとって最大のパートナーであるが、時として政治体制の違いや歴史問題に関連し、対中感情が悪化する。日本は植民地支配を受けた国であり、歴史問題では韓国民が一致して反日感情を持つ。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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