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野口悠紀雄の「経済大転換論」

ユーロ危機の原点は、ユーロ国債への投資

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第31回】 2012年8月23日
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 アメリカを中心とした国際的資本移動を見ることにより、金融政策や金融情勢と資本移動の関係を見ることができる。アメリカと全世界の関係を一括して見るより、相手国との関係を見ることによって、そうした姿が浮かびあがる。アメリカにはこうした分析を行なうことのできる詳細なデータが経済分析局(Bureau of Economic Analysis=BEA)によって提供されているので、便利だ。

金融条件を敏感に反映する
米英間資本移動

 イギリスは全世界を相手にして金融仲介を行なっているので、米英間の資本移動は、金融情勢を敏感に反映している。これらの取引を行なっているのは、全世界の機関投資家やヘッジファンド、金融機関などだ。

 アメリカ側からイギリスとの間のネットの動きを見ると、【図表1】のとおりだ。

 これを「対外投資(アメリカ人によるイギリス資産の取得)」と「対内投資(イギリス人によるアメリカ資産の取得)」に分けると、【図表2】のとおりだ。

 アメリカとイギリスの関係で特徴的なのは、対内投資と対外投資が同じくらいの規模であることだ。つまり一方的な流れではない。これは、経常収支で大きなアンバランスがないからだ。ただし、イギリスからアメリカへの投資がやや多く、結果としてアメリカに資金流入になっている。

 また、対外投資も対内投資も、金額が大きい(2006、07年頃は5000億ドル程度だった)ので、受動的に影響を受けるだけでなく、金融条件に影響を与える可能性もある。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

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