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野口悠紀雄の「経済大転換論」

イギリスの金融仲介が世界に大きな影響

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第33回】 2012年9月6日
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 イギリスの2011年のGDPは1.5兆ポンド(1ポンド=125円で換算すると、約188兆円)であるのに対し、10年末の対外資産と負債は、それぞれ約10兆ポンド(約1250兆円)だ。つまり、対外資産、対外負債は、それぞれGDPの約7倍あるわけで、GDPに対する対外資産・負債の比率は、日本の場合に比べてずっと高い(【図表1】参照)。

 イギリスの対外資産・負債のパタンは、日本のそれとも、アメリカのそれともかなり異なる。

 日本の場合の対外資産は、過去における経常収支の黒字が蓄積されたものだ。そして、対外負債よりかなり大きい。しかし、イギリスの対外資産は、経常収支で蓄積されたものではない。イギリスの国際金融は、国内金融とはほぼ切り離された存在だ。外国から資金を調達し、それを外国で運用しているのだ。対外負債が資産とほぼ同じだけあることが、それを物語っている。

 巨額の資産・負債を、さまざまな形態で、またさまざまな国・地域と取引している。以下で見るように、相手国によって、かなりパタンが違う。そして、世界経済の動向に大きな影響を与えている。

 アメリカの場合は、経常収支の赤字がきわめて大きい(2011年度で4659億ドル。これは、GDPの3.1%)。それを補うために資本輸入している。したがって、対外負債が対外資産をかなり上回っている。

イギリスの対米投資が
アメリカ住宅バブルを支えた

 イギリスの国際的資本取引は上記のようにさまざまな国との金融仲介なので、総額を見ても動向はよくわからない。相手国別にブレイクダウンして見る必要がある。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

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