会社はその後、上場した。当時、特に営業部はハイテンションだったという。通常、上場の半年ほど前は業績が一段と大切になる。証券会社などの金融機関、証券取引所などによって、注意深くチェックされるからだ。

 社長はそれを踏まえ、営業部に盛んに発破をかけた。夜の11時に営業マンが客先に向かうこともあったという。

「当時はうちもブラック企業だったけど、彼らは同じような会社に交渉で行っていたんだろうな……」

若くして活躍してもその後伸び悩む
20代からバカにされる「シーラカンス社員」

 私は、営業マンたちのその後を知りたかった。ベンチャー企業で活躍する20代を観察していると、30代になって伸び悩む傾向がある。瀬尾さんはこう答える。

「20代でマネジャーになり、多くの部下を持った人は、その後能力が止まり、30代で辞めていった。彼らのうち残っているのは今、30代半ば~40代前半くらいの十数人。部下の20代からバカにされて、目も当てられない。まるでシーラカンスみたい。うちでは20代で活躍すると、30代は絶対にダメになる」

 シーラカンス社員のどこに問題を感じるかと聞くと、こう捉える。

「会社や職場が成長すると、本来、そのスピードに合わせて自分も進歩しないといけない。彼らには、成長しようとする意欲がない。うちのようなイベントなどをして利益を得る会社は、変化に強そうに見えて、弱い。特に彼らは変化についていけない」

 その理由を尋ねると、瀬尾さんはやや大きな声で語る。

「シーラカンスたちも上場の際、ストックオプションなどで結構なお金が入った。20代で家や高級外車を買って……。それで上がり!と思い込み、後は成長意欲を失くしていった。当然ですよね。物質的には満たされているわけですから」