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野口悠紀雄の「経済大転換論」

アメリカ量的緩和がヨーロッパ・ソブリン危機の原因?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第37回】 2012年10月4日
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 いま世界で金利の二極化現象が起きている。

 「リスクオフ」によって投資資金が南欧国債から流出し、日米独の国債に流れ込んでいるのだ。このため、南欧諸国の国債金利が高騰し、日米独の国債金利が歴史的な低水準に落ち込んでいる。

 こうした現象が起きていること自体は、明らかだ。しかし、これが起きたメカニズム、それに至る経緯、それ以前に生じていたこと、等々については、はっきりしている点と、よくわからない点がある。

 アメリカを中心に見ると、「何が起きたか」という事実は、はっきりしている。

国際的な資金の流れの
変化を3期に分ける

 2007年以前から最近にかけて、国際的な資金の流れが大きく変化した。これまでの回で示してきたデータを援用しつつまとめてみると、つぎの3期に分けることができる。

 まず第1期は、07年の金融危機以前の状況である。この時期には、アメリカへの巨額の投資資金流入があった。

 イギリスからアメリカへの投資だけを見ても、04年以降、毎年4000億~5500億ドル程度の巨額の資金流入があった。そのほぼ半分は、MBS(住宅ローンの証券化商品)に投資された。アメリカで住宅価格バブルが起こり、それを背景として、MBSが高い利回りを提供できたからである。

 第2期は、08年と09年だ。アメリカの住宅価格バブルが崩壊し、金融危機が生じた。このため、アメリカからの投資引きあげが行なわれた。

 イギリスとの関係だけを見ても、08年にほぼ3000億ドルの投資が引きあげられた(ただし、08年には、アメリカのイギリスに対する投資も5000億ドル程度引きあげられたので、ネットではイギリスからアメリカへの資金流入となった)。

 09年には、イギリスのアメリカに対するネットの投資は、3000億ドルを超えるマイナスとなった。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

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