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投資が落ち込むなか、為替投資だけが急増する“二極化”への警鐘

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第60回】 2009年1月14日
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  「日本の個人投資家は、為替リスクに対して勇敢だなぁー」。

 金融危機下で投資市場が大変動を繰り返すなか、円/ドルの為替取引が前年比7割も伸びている状況を見て、あるヘッジファンドの為替ディーラーはこうつぶやいた。

 わが国の個人投資家は、プロでさえ尻込みするような金融市場の混乱のなかで、リスクの高い為替取引を積極的に行なっている。「日本の個人投資家はリスクに勇敢に立ち向かっている」という彼の印象は、あながち的外れとはいえない。

 もともと為替レートは、債券や株式などの金融商品と比較しても変動が大きい。また、ほとんど24時間、世界のどこかのマーケットが開いているため、いつでも取り引きができるメリットがある。

 その一方、寝ている間でも、世界のどこかで重大な出来事が発生すると、相場は突然、大きく変動することもある。為替取り引きはそれだけリスクが大きく、市場の動向をフォローするためには、多くの時間とエネルギーを必要とする金融商品なのである。

 しかも、市場での投機取引の割合が圧倒的に高いため、短期的にはヘッジファンドなど大手の投機筋のオペレーションによる影響が大きい。大手ヘッジファンドなどが多額の円売りを仕掛けると、どうしてもその方向に相場が大きく動く可能性が高いのだ。

 ただし、価格変動性が大きくリスクが高いということは、「上手くやれば大儲けができる商品」とも言える。有体に言えば、“掛け率の低い万馬券”のようなものと考えると分かり易いだろう。

 当たる確率は高くはないかもしれないが、もし当たった場合には、通常では考えられないような高配当を手にすることも可能なのである。

 日本人は、昔から、保有資産について大きなリスクを嫌う傾向があると指摘されて来た。その結果、個人金融資産1500兆円の中身の大半が、リスクの少ない“預金”となっている。

 その一方で、今回のように、プロでも尻込みするような金融市場の混乱のなかで、個人がリスクの高い為替取引に勇敢にチャレンジしている。このような行動様式は、じつに興味深い。その背景には、どんな理由があるのか?

 ある友人に、「何故、為替取引によって投資資金を海外の金融資産に向けるのですか?」と尋ねてみた。すると、まず「為替レートの変動によって収益チャンスがある」ことを上げていた。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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