社会人になって職場でゴルフに誘われると、大人になった気がしたもの。ゴルフは身だしなみや相手に対する気配りが重要で、さらにプレイの結果は自己申告。学生時代までに経験したスポーツとは別世界の競技です。まさに“紳士のスポーツ”をしているという実感を得ることができます。そんな大人の世界へ誘導してくれるのは、会社の先輩や上司たちでした。ところが、最近はそうした“伝統”が大きく崩れてしまっているようです。先輩や上司が誘っても、ゴルフを始めることを拒む若手社員が少なくないからです。

 今回は、イマドキの若手社員におけるゴルフに対する価値観の変遷について、紹介してきたいと思います。

高額の用品代にプレイ代、交通費…
ゴルフを始めるための高いハードル「お金」

 ゴルフは、英国が発祥で、芝生のコース上に静止しているボールをクラブで打ち継ぎ、グリーン上にあるホールへ入れ、それまでに要したストローク(打数)によって優劣を競う競技。各ホールには基準打数(=パー)が決められており、すべてのホールをパーでまわると72打のスコアとなります。逆にパーより少なくまわると、アンダーパーとカウント。それが1打少ないとバーディー。ただ、素人にはなかなかできない芸当です。

 ちなみに筆者もゴルフをしますが、腕はなかなか上がりません。18ホールまわって、パーは1つか2つくらいがいいところです。

 では、最近の若手社員はどうでしょうか?広告代理店に勤務しているIさん(29歳)は、ゴルフを始めて1年目。学生時代は野球部に所属していたので、ボールにうまくクラブが当たれば飛ぶのですが、

「すぐにグリーンを飛び出してOBになってしまいます。なので、なかなか100が切れません」

 と、話してくれました。誰でもスコアを良くする(少ないストロークでまわる)ためには、壁にぶち当たるもの。だからこそ、ゴルフは楽しいのかもしれませんね。

 ちなみにゴルフは一生を通して楽しめるスポーツと言われています。大抵の人は社会人でデビューし、それから腕を磨いて70歳過ぎまで普通に楽しむことができます。

 ただし、ゴルフはお金がかかります。バブル華やかなりし頃に比べれば、ゴルフ場もかなり安くなりましたが、それでも他の一般的なスポーツに比べれば、1回で「それなりのコスト」を要します。ゴルフ場のプレイ費以外にも、交通費や昼食費が案外ばかになりません。景気が低迷して収入アップが見込めない時代においては特に、心理的な抵抗感が生まれて、ゴルフを始める人が減少しているようです。