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「どん底のシステム会社を個性輝く存在へ」(日本ネットシステム、双葉教育・市川博子)(前編)――元MS日本法人会長古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第4回】 2012年10月25日
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古川 ある人は自分だけで自分の世界に入ってプログラムを書く人が多いけれど、「TL王」のときから、グループで作業をやるのが好きなタイプですか。

市川 「TL王」もMSアクセスで一人で作りました。アクセスも最初は知らなくて、大学のアクセス活用講習を受けて、これならできると思って作りました。実は、自分で作る前に既製品を一つ買ったのですが、これでは技術移転のライセンスのところが全然管理できないので使えないと思ったのです。

古川 ただ、普通の人からすると、講習を受けて、一人でアプリケーション・ソフトウェアを創作/商用化するということは、奇跡に近いと思うのですが。

市川 素人が作った感じで、手作り感満載でしたよ(笑)。

 作ったものをCDにコピーして、表紙を印刷して、他の大学にも配りました。フォローはしないので、自由に直してくださいと伝えていました。有償でしたが、リーズナブルな値段にしていました。このようなツールが少なかったので、その頃のシェアは50%くらいは取っていたと思います。実は早稲田大学にも渡したのですが、日経新聞に慶應が早稲田に技術移転管理システムのソフトウェアを提供したという記事が載り、早稲田が慶応からソフトを提供されるとは何たることだということで、当日に返品されたことがあります(笑)。結局早稲田大学は自前で一から作ったと聞いています。

古川 そういう時代だったかもしれないですね。私は大学の教授になるときには、どの大学とも企業とも連携しても構わない、いっさい制約はないということを条件にしてもらいました。従前は、学閥/派閥を気にされる方々も企業や教育関係者におられたようですが、今は企業の研究組織やそれぞれの教育機関と産学連携を遂行することが当たり前になってきたようにも思います。

市川 連携しないと面白くないと私も思います。その後いくつもライセンスして、いろいろ手作りで渡していたのですが、バグがあると導入先に連絡するというのが大変になりつつあり、出産して育児休暇に入るときに別の会社にライセンスアウトしました。今販売されているものはそちらで一からつくり直されたものです。

リーマンショックの直撃を受けた親の会社を立て直すことに

古川 「TL王」を作って、出産して、児童教育を始められましたが、それと並行してソフトハウスの日本ネットシステムの経営をされていますが、こちらのきっかけは?

市川 日本ネットシステムはSFCを辞めてからになります。出産して、自分の子どもの預け先として双葉教育を始め、東麻布で保育の仕事をスタートしていました。慶應の勤務先が三田だったので近かったのですが、湘南藤沢キャンパスに異動すると何かあっても戻るのに2時間かかるので、育児中としては両方やるのが少ししんどくなりました。

 2年経って、SFCで自分がサポートするべきトラブル調整や契約交渉等が必要な案件も無くなってきたので、SFCをやめて双葉教育だけになり、父の会社の日本ネットシステムに非常勤役員として週1日くらいで働き始めました。ただ、私が入社して半年しないうちにリーマンショックが起こり、大きな影響を受けました。

 さらにその年の秋に父が急に身体を壊し、社長も引き継ぎました。それまでは、NECの下請けという形でやっていましたが、NEC自体の業績が悪くなり、派遣切りのような形になり、NECに常駐していた社員たちがいきなり3分の1ほど戻ってきたのです。とにかく、社内開発で社内ブランドを立ち上げようということになり、私は社内開発担当になりました。

(11月8日公開予定の次回に続く)

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林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

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