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新CEOマリッサ・メイヤーは
ヤフーを生き返らせることができるか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第217回】 2012年10月25日
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 ヤフーに希望があるかもしれない。

 先だって行われた四半期決算報告で、同社は売上が2%伸び、同社の1株あたりの利益が35セントとなったことを発表。これらはいずれもアナリスト予測を上回るもので、この発表を受けて数分後に株価が3%上昇した。だが、ヤフーの希望はこうした数字にだけあるのではない。

 決算報告後の投資家とのやりとりで、就任後初めて登場した新CEO、マリッサ・メイヤーが見せたのは、なかなか堅調なリーダーぶりだった。そして、それに好感を持った市場がさらに株価を押し上げたのだ。

7億人のユーザーを持つ強みを活かしつつ
弱かったモバイル市場へ切り込む

 7月にグーグル重役からヤフーのCEOとして移籍したメイヤーは、実際にどんな戦略を打ち出すのかがこれまで見えないままだった。4年間の間に5人もCEOが替わった同社は、その都度コストカットとレイオフと戦略転換を続けて、もうズタズタになっているかのようにしか見えなかった。そんな企業をどう再起させるのか、という期待と共に、いや、もう遅すぎるのではないかという声も聞かれていた。

 新しく着任するCEOはやたら大鉈を振るいたがるものだが、今回わかったのは、メイヤーのアプローチはちょっと違うようだということだ。それはふたつの点に見られる。

 ひとつは、これからの戦略。しかもそのひとつが、あくまでもヤフーの既存の強みを活かすことであるからだ。

 今でも7億人のユーザーがいるヤフーは、メール、インスタント・メッセージ、コンテンツ(スポーツやファイナンス)が利用の中心だ。新戦略でもここをさらに充実させ、広告収入を上げるとしている。

 その際に、ヤフーを使うことが「日々の癖」になって、それを楽しくできるようにしたいとメイヤーは強調した。非常にわかりやすい戦略である上、グーグルでもインターフェイスを向上させるために実力を発揮してきた彼女のことだから、実際うまくやり遂げるだろうという説得力がある。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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