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「引きこもり」するオトナたち

30代引きこもり男性が父親を刺殺
おとなしかった息子はなぜ突然豹変したか

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第125回】

 親と子が、なかなか上手くコミュニケーションを取れないために思い悩む家族は少なくない。しかし、中には、ちょっとしたきっかけから、殺傷沙汰を引き起してしまうこともある。

 あまり報道されていないが、先日も、約10年にわたって引きこもっていた30歳代の男性が、父親を刺殺した事件の判決が、神戸地裁であった。

 男性は、仕事をしないで引きこもっていたことを父親から怒鳴られ、カッとなって、とっさに果物ナイフを手にした。ところが、馬鹿にされたように嘲笑されたため、父親の腹を刺して死なせたとして、殺人罪で懲役12年の判決を受けたのである。

 ふだんは気が小さくて、家庭内暴力もとくになかったという男性。いったい、この親子の間に何があったのか。

 今回も引きこもり経験者で、自助グループ「NPO法人グローバル・シップスこうべ」(姫路市)の代表を務める森下徹さんに、関西通信員として裁判を傍聴してもらい、レポートしてもらった。

父親を刺殺した38歳男性に
「懲役12年」の判決

☆       ☆

 顔色が白く、髪はぼさっとしている。ジャンバーにジーンズ姿で入廷してきた中年男性は、あのような事件を引き起こしたとは想像できないほど、小柄で大人しそうな感じに見える。

 10月19日15時過ぎ、神戸地裁211号法廷の被告人席に立ったのは、A被告(38歳)。 兵庫県宝塚市の自宅で約10年間にわたり引きこもった末に、父親(65歳)を刺殺したとして殺人罪で起訴され、奥田哲也裁判長から「懲役12年」の実刑判決を言い渡された。

 判決の瞬間、身じろぎもせずに聞いていたA被告。裁判長から「何か言いたいことは?」と問いかけられると、蚊の鳴くような聞き取れない声で答えていた。

 A被告はなぜ、父親刺殺という悲劇に至るまで、追いつめられてしまったのだろうか。

 私は、この事件を取材している記者に、それまでの経緯を聞いてみた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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