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オヤジの幸福論

シニア世代がリスクを取れる理由

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第10回】 2012年10月26日
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投資家にとってのリスクとは?

 前回は、人生90年超の現代において「長生きリスク」に対応するには、70歳まで働くことを前提として60歳以降のプランを立てる必要があると述べました。そして、より長く働くことで「人的資本」が増える分、金融資産では相応のリスクを取った積極的な運用をすべきだとアドバイスしました。

 ただ、一般的には「投資期間が長い場合にはリスクを取るべき」と言われるため、投資期間が短いシニア世代に積極運用を勧める私の意見を奇異に感じる人もいるかもしれません。そこで、今回は投資期間とリスクの関係について詳しくお話しします。

 一般的なアドバイスをもう少し詳しく述べると、「長期投資ではリスクが下がるため、長い投資期間がある人はリスクの高い運用を行うべき」となっている場合が多いのですが、この真偽を検証してみたいと思います。

 注意すべきは、ここで言うリスクがリターンの標準偏差、つまりリターンの振れ幅のことで、下振れのみならず上振れ(非常に良い結果)もリスクと捉える点です。長期にわたって投資するとリターンの振れ幅を表す標準偏差が小さくなることを「時間分散効果」と呼びますが、これをいくつかの角度から検証してみます。

“年率”リスクと“累積”リスク

 一般に標準偏差という場合、“年率”リターンのブレを指しますが、着目していただきたいのは“年率”という言葉です。ここでは株式を想定し、期待できるリターンが年率5%、年率リターンの標準偏差が20%、投資期間がN年の投資について考えます。今年と前年のリターンの間に関連性がないと想定すると、“年率”期待リターンはずっと5%ですが、「1年当たりの標準偏差÷ルートN」で計算される“年率”標準偏差は10年で6%、30年で4%と投資期間が長いほど小さくなります。したがって、“年率”という切り口では時間分散効果を確認できます。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


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年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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