アナリストやストラテジスト、評論家…
注意すべき二つのポイント

 アナリストやストラテジスト、評論家といった人たちはどうだろう。金融機関やFPの人たちと違い、普通の人がこれらの人たちと直接会って話をすることはまずないだろう。多くはテレビや雑誌などのメディアで彼らの発言を見聞きすることになる。

 彼らの意見を見聞きするのは、それなりに役に立つと筆者は考えている。ただし、注意すべき点が二つある。

 まず一つ目は、彼らの意見はあくまでも自分の思考を整理するために使うべきである、ということだ。「あの人の見通しはよく当たるから」といったことで意見を100%うのみにしてはいけない。どこまで行っても投資の判断は自分の頭で考えて行うべきであり、専門家の意見は一つの参考として自分で考える時の材料に使うべきなのだ。

 二つ目に注意すべきこと、それは一人の人の意見で判断してはいけないということだ。専門家と言われる人たちの中でも意見が分かれるということはよくある。相場の先行きについて強気の人もいれば弱気の人もいる。

 気をつけなければならないのは、人間は誰でも自分の意見に近い人の意見を重視しがちになるということである。投資というのは先の見えない不確実なものであるから、誰もが不安に感じるのは当然だ。

 そんな心理状況においては、自分と似た考えを持つ人の意見を取り入れたくなる気持ちもよくわかる。でもこれは「確証バイアス」といって、自分に都合の良い意見だけを聞いてしまいがちになるという一つの心のわなである。全く意見の異なる複数の人の話を聞くことで、より柔軟な考え方や見方ができるようになるため、自分で判断する上で役に立つのは間違いないだろう。