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岸博幸のクリエイティブ国富論

米国のハリケーン対応との比較で分かる
東日本大震災被災地の復旧・復興が遅れている理由

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第205回】 2012年11月2日
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 今週月曜の夜に米国東海岸にハリケーン“サンディ”が上陸し、ニューヨークなどで大きな被害が出ましたが、報道を見ていて、このハリケーンへの関係者の対応でいくつか気になる点がありましたので、今週はそれを説明します。

連邦緊急事態管理庁(FEMA)の対応

 米国政府には、自然災害など安全保障に関わる非常事態への対応を担当する組織“FEMA”(連邦緊急事態管理庁:Federal Emergency Management Agency)があります。FEMAは、非常事態が起きた場合の対応を4段階に分けてプログラム化しています。

・第1段階(危機発生時)
  ―非常事態宣言を出して関係法律の効力を停止する
  ―連邦政府が中心となって迅速かつ徹底的な危機対応を行なう
・第2段階(復旧時)
  ―連邦政府が中心となって、生命インフラの再建を行なう
・第3段階(復興前期)
  ―危機から平時への移行期に対応主体を連邦政府から地方政府に移行する
・第4段階(復興後期)
  ―地域の日常の復活期であり、地方政府が主体となって地域を再生する

 米国では地方分権が徹底していて、基本的には地方政府(州、郡、市など)が地方に関する行政のすべてを担っていますが、大規模な自然災害が起きたときは、危機対応や生命インフラ復旧は連邦政府が中心に行ない、復旧がある程度進んで復興の段階に入ったら対応主体が連邦政府から地方政府に戻ります。 “危機時の集権、平時の分権”という言葉どおりのシステマティックな対応が整備されているのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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