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ボーダレスに生きる日本人起業家の 人生が動きだす、世界の眺めかた
【第9回】 2012年11月27日
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佐藤芳之(さとう・よしゆき/オーガニック・ソリューションズ・ルワンダ代表)

ケニアが育てた100万人の“グランパ”(2)
「発展途上の自分」を作る

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「外へ行きたい」という衝動を育てる

佐藤芳之(さとう・よしゆき)1939年生まれ。宮城県南三陸町で幼年期を過ごす。1963年、東京外国語大学インド・パキスタン語科を卒業後、アフリカ独立運動の父エンクルマに憧れて日本人初の留学生としてガーナへ渡り、東レ・ミルズに現地職員として入社。製材工場、鉛筆工場、ビニールシート工場、ナッツ工場など、小規模な工場を次々と立ちあげ、うち一つを最終的に「ケニア・ナッツ・カンパニー」として年商30億円の企業にまで成長させる。2008年に同社をタダ同然で譲渡したのちは、ルワンダに移り、バイオ液を利用した公衆衛生事業に取り組んでいる。現在73歳。趣味は水泳と草原で聴くマーラー。怖いものは妻。

 「アフリカへ行きたい」

 そう言って、私のもとを訪れる若い人はたくさんいる。東京のオフィスに、地方の町からキャリーバッグを引きずって夜行バスで訪ねてくる大学生もいれば、なかには「もっとよく考えてからにしなさい」と突き返しても何度でもアタックしてくる若者もいる。

 最近では、いろいろな大学から招かれて大勢の学生の前で話す機会も増えた。私がこれまで半世紀のあいだにアフリカで続けてきたビジネスのことや、日本を訪れて感じることなどを思うままに語っているだけなのだが、これが結構評判がいい。講義のあとにわざわざ挨拶にやって来て、「自分もアフリカへ行きたい」と打ち明ける学生もいる。

 なぜ、アフリカへ行きたいのか?

 彼らの思いはよくわかる。かくいう私も、10代後半の頃から「アフリカへ行きたい」という衝動を抱いていた。そう、あれは堪えようのない「衝動」だった。アフリカへ行って何がやりたいのか、自分に何ができるのか。そういうことは一切考えずに、ただ「アフリカへ行きたい」と願っていた。今でもよく覚えている。高校生の時に「佐藤、おまえは将来、何をやりたいんだ?」、そうクラスメートから問われて、「俺はアフリカへ行く!」と間髪を入れず答えたこと。

 今、思えば、私はただ外へ外へ行きたかっただけなのだ。まだ小学生の私が、宮城県の小さな港町にある防波堤の先を「ウォーッ!」と叫びながら駆けていったという話を、以前、母から聞かされた。あの「外へ行きたい」という衝動は、10代後半から「アフリカへ行きたい」という形になり、30代から40代にかけて「世界中へ行きたい」という形に変じ、70歳を超えた今もなお私のなかでどこまでも膨らんでいる。

 「外へ行きたい」。私のもとを訪れる若い人たちの願いも、そこにあるのではないかと感じる。私が20代を過ごしていた頃の日本と、彼らが今、生きている日本はまったく違う。2012年の日本は、世界でもっとも裕福で安全で、努力さえ惜しまなければチャンスを手に入れられる平等な社会になっている。

 そんな、世界でも稀に見るほど恵まれた国に生まれ育ちながら、「外へ行きたい」「アフリカへ行きたい」と願うのは、なぜなのだろう。

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