嘘だと思うなら、「YouTubeショート」(縦長画面で時間は1分以内の制約がある)の自撮りで、何かを説明する動画でも撮ってみるといい。要点を書いた台本がある方が楽だし、内容の正確性も安心だ。滑舌のいい人なら300字くらいの文章で1分だ。ならば、電話を掛けるよりも、この台本の文章をメールで送るといい。相手は1分の半分も掛からない時間で文章を読むだろうし、誤解が少ないはずだ。

電話は不愉快・不適切【理由4】
「記録」が残らない

 特にビジネスの場合、電話の会話については、記録が残らないことの不便もある。

 電話にも録音という手段はあるが、録音という行為は相手を疑っているようにも見えて感じがよくないし、録音は聞き直しに時間を要する。例えばメールであれば、やりとりの記録が残っているので「言った・言わない問題」が発生しにくい。

 文章の解釈にも曖昧性があるので、「そういうつもりで書いたのではなかった」と一方が後で言い出して揉める種類のトラブルはあり得る。しかし、やりとりは文章の方が誤解が少ないし、内容に対する責任がより明快だ。

 ただし、喧嘩腰の議論をメールで行うと、書き言葉の印象が強くなりすぎる場合があるので注意は必要だ。それでも「適切に書く」スキルは経験を重ねることで改善できるので、やはり書くことは重要だ。

 電話を好む人の中には、メールだとやりとりが残ってしまうけれども、電話だと証拠が残らないので、電話がいいという人がたまにいる。電話でも、米国や中国のような先進国では要人の会話が盗聴されたり記録されたりするようだが、情報後進国・日本の平民同士の会話であれば、記録は残っていないように思われる。

 確かに、うわさ話などには電話が向いているのかもしれない。しかし、相手が録音することが絶対にないとはいえない。本当に記録を残したくない種類の重要なコミュニケーションにも、電話は向いていない。