直後、アフリカ系米国人の学識者が、私にこう指摘した。

「オバマ氏が白人だったら、彼らは欠席しただろうか」

 つまり、ほとんど誰も口にはしないが、欠席は人種差別的という見方がほんとうのところだ。これも、皮肉と思わざるを得ない。

 アフリカ人と白人の両親の間に生まれた自分だからこそ、「アメリカを一つ」にする「夢」を実現するとし、多くの有権者を興奮させて、オバマ氏が当選した2008年の大統領選挙から、後退こそすれ、進展はなかった。そんなことを感じさせる一般教書の風景だった。

どちらも困難な道を歩む

今年9月行われたオキュパイ・ウォール・ストリート1周年のデモで逮捕される若者 
Photo by Morgan Freeman

 また、「オキュパイ・ウォール・ストリート(OWS)」、つまりウォール街で始まった若者中心の反経済格差運動を思い出してみよう。

 ベトナム反戦運動以来、「ノンポリ」と思われてきた10代から20代といった若い層が、約30年ぶりに立ち上がった。これは、格差が顕在化していなければあり得なかったことだ。

 OWSの運動を続ける若者に、選挙のことを聞いてみた。

「民主党も共和党も僕らを代表してはいない。独立候補に投票するつもりだ。問題は、政府が我々に振り向いてくれるかどうかで、その答えにオバマ大統領もロムニー候補も答えていない」(イブラヒム・アワダラー、大学中退、27)

 彼は、あわよくば大学に戻り、政治を勉強したいというが、中退したまま路上生活し、OWSに1年以上も関わっている。

 数字でみると、米国の屋台骨とされている中間層の世帯所得は、オバマ大統領が就任した09年1月から現在までに5%も減少し、家計を圧迫している。また同時期から11年までに、政府の低所得者向け食費補助のフードスタンプの受給者は46%も増加している。