<生活における課題>

●ライフクライシス

 仕事の場と生活の場が同じであることから、コンフリクトが発生。テレワーク以前なら自宅でくつろいでいた時間帯にも仕事を続けてしまうなど、生活にメリハリをつけられず、悩む人も多いようです。

 部屋数が多くない家庭では、仕事をするスペースの確保にも苦労します。さらに、学校が閉鎖された時期には、お子さんが自宅にいる環境で仕事をしなければならない状況にも陥りました。

●QOLの低下

 仕事と生活の時間をきっちり分けられないことがストレスとなり、QOLが低下。また、社外のコミュニティ参加や副業などを始めたものの、想定より負担が大きい仕事を押し付けられ、本業にも悪影響が出てしまうこともあります。

 ――このように「働く」と「暮らす」が融合している中、自分にとって最適なバランスを見つけ出すことが、生産性向上にもQOL向上にもつながります。そのための取り組みを、私たちは「クラシゴト改革 」と呼んでいます。

「働く」と「暮らす」を融合させる
クラシゴト改革の重要性

 クラシゴト改革によって最良の状態に持っていけるかどうかは、個人の工夫だけでなく、会社側(経営者・人事)がいかに「仕事」と「暮らし」を一体で考えて仕組みを設計できるかにかかっています。企業や上司がそれぞれ、「一人ひとりの“個”を尊重する」観点を持ち、尊重しながら生かすための行動(制度設計やマネジメント)を実行することが大事になります。

 また、「出社が当たり前」という感覚が根付いている、現場の上司たちの意識改革も同時に進めなければなりません。

 先に挙げた図の右側の項目を意識した人事施策を打つことで、生産性向上・エンゲージメント向上につながり、ひいては採用力の強化にもつながることでしょう。

(リクルート HR統括編集長 藤井 薫)