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田中秀征 政権ウォッチ

今回の解散は“自己陶酔解散”だ

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第158回】 2012年11月15日
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(編集部注:本稿前半は11月13日夜の執筆、後半は14日の解散の方向性決定直後に加筆をお願いしたものです)

 野田佳彦首相は、本当に年内解散を決断したのだろうか。既に、メディアも自民党などもそれを既定のこととして動いている。こうなると流れを止めるのはきわめて困難だ。

 だが私は願望を込めて首相はまだ迷っているのではないかと思っている。

 なぜならここにきて、政局の動向に影響を与える2つの要因が加わった。それは、①小沢一郎氏の控訴審判決が無罪となったことと、②7~9月のGDP速報値が年率換算で前年比3.5%減となったことだ。

 もちろん首相には2つとも予想通りだろうが、それが事実として明確になると事情はかなり違ってくる。なぜなら、政界ではともかく、多くの一般の人たちにとってこれらは衝撃的な新事実である。政界やメディアで織り込み済みでも、世論一般では必ずしもそうではない。

 景気が後退局面に入って、「消費税増税をやるときではない」、「今まで何をやっていたのか」と野田政権への風当たりは一段と強まっている。

 「小沢無罪」も、底辺の小沢ファンに勢いを与えている。今まで黙って耐えていたこともあって、その攻勢にはあなどり難いものがある。

閣僚や党役員も年内解散推進か?
選挙をめぐる役職者たちの不可解な行動

 おそらく、このまま解散・総選挙となれば、民主党議席は数十に転落するだろう。それでも突入するとすれば、首相は自分の功名心だけで民主党議員や党員の運命など眼中にないことになる。

 かろうじて残るとすれば、組合候補、世襲候補、重要閣僚経験者、個人後援会が強い地方議員出身候補の一部に限られよう。

 閣僚や党役員の中には、年内解散推進論者も散見され、実に不可解な印象を与えている。

 重要な役職のまま選挙に臨むほうが有利、選挙が遠くなれば落選の可能性が高まる、と考えていると疑われている。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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