小学校と中学校の順位の変動を
どう読みとったらよいか

 県によっては、小学校の順位が上位なのに、中学校でそれが大きく下がっている例がある。一方、小学校では上位ではないのに、中学校で上位に入ってくる県もある。

 なぜ、こうしたことが起きるのか。

 もちろん、県によって理由はさまざまだが、例えば次のような理由が考えられる。

(1)小学校と中学校の組織体制が違う
 小学校ではほぼすべての教科の授業を1人の教師が担当しているが、中学校では国語、数学など教科ごとに専門の教師が授業を担当している。だから、中学校では教科ごとの教師間のまとまりがより強くなる。逆にいえば、教科を越えた先生同士の結びつきが弱くなる傾向にある。

 そのため、小学校では同じ学校の先生全員でより良い授業にするための研究を共同で行うことができるが、中学校ではそれが難しくなってくる。つまり、国語科、数学科などその教科内での共同研究はできても、同じ学校の先生がみんなで授業研究をすることが少なくなりがちである。

 とはいえ、中学校でも教科の壁を越えて共同で授業研究を行っている学校もある。教師同士で切磋琢磨(せっさたくま)して授業を高めていこうという機運の差が、授業の質の差に表れる。それが、結果として学力調査の順位に変動が生まれている場合がある。

(2)中学校になると教科内容が増える
 中学校の授業で指導する教科内容は、小学校よりかなり増える。教科内容の増加に対応できている中学校は子どもたちの学力を高めることができるが、十分に対応できていないと、学力は相対的に落ちてくる。その違いも関係している可能性がある。

 だが、そういう中であっても、上位4都県-石川、秋田、福井、東京は、小学校・中学校ともにトップクラスの結果を残している。すばらしいことである。

訂正 記事初出時より以下の通り表記を改めました。
9段落目:30÷12=0.4という割り算ができても、→12÷30=0.4という割り算ができても、
(2021年9月21日12:02 ダイヤモンド編集部)