中国「世界最長の海上大橋」が期待外れの閑散ぶり、背景にあるしがらみとはPhoto:VCG/gettyimages

世界最長・港珠澳大橋が人々の期待外れだった理由

 2016年6月24日の本連載では、当時建設中だった超大型プロジェクトである、香港・珠海・マカオを結ぶ大型海上自動車道である港珠澳大橋を取り上げた。

 その2年後の2018年10月、15年の歳月と1000億元(約1兆7300億円)以上の資金をつぎこんで建設したこの海上橋が、ついに完成した。橋・人工島・トンネルが一体となり、全長55kmと世界最長を誇る大橋に、人々は大きな夢を抱いた。香港・珠海・マカオだけではなく、さらに、珠江デルタエリアを含むグレーター・ベイエリアの交通環境の大幅な改善を熱く嘱望したのだ。

 しかし、そう時間がかからずに、人々は失望した。

 鳴り物入りで開通した同橋は、当初は1日数万台の利用はあるだろうと見込んでいたが、車両通行量が最初から伸び悩んでいるのだ。開通してから約半年たった2019年5月の通行量は14万8546台で、1日当たりの平均は4792台にとどまった。1時間当たりの平均は200台にも及ばなかった。

「バスに乗ると海の上を走っているような壮大な景色を楽しめるが、道はガラガラ。すれ違う車を見かけるのもまれだ」と揶揄(やゆ)する声も出ている。