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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

香港経済の地盤沈下、巨大海上橋建設で浮き彫りに

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第281回】 2016年6月24日
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 現在、中国で建設が進められている超大型プロジェクトがある。香港・珠海・マカオを結ぶ大型海上自動車道である港珠澳大橋だ。橋・人工島・トンネルが一体となったこの海上橋は、全長55kmと世界最長を誇る。同時に、世界一長い沈埋トンネルも擁する。中国建設史上で距離が最も長く、投資額が最も多く、施工難易度が最も高い海上橋となる。

 港珠澳大橋は着工してすでに7年弱の歳月が過ぎ去り、来年末には開通条件が整う運びになっている。

香港・珠海・マカオを海上で結ぶ巨大海上橋の建設が進んでいる

 港珠澳大橋は珠江河口の伶〓洋(〓はにんべんに丁)海域を跨いでおり、「一国両制度」の枠組みのもとで広東省・香港・マカオが初めて共同で建設を行う超大型海上交通プロジェクトである。2009年12月15日に着工し、海上橋梁およびトンネルを建設する主体工事と、香港・珠海・マカオを結ぶ部分工事を含む。なかでも工事量が多く、技術的にも難しいのが、橋と人工島とトンネルからなる全長約29.6kmの主体工事で、約6.7kmの沈埋トンネル、22.9kmの海上橋、橋とトンネルとを結ばせるための人工島を含んでいる。

 海上橋は全長22.9kmで、今年8月には橋梁工事が完成し、来年上半期に人工島と海底トンネル工事が完成する見込みである。その後、橋とトンネルの路面舗装を行い、来年末には設備・環境保護・交通監視制御などの付帯工事と手直しが完了する。

 このほか、全長14kmの香港への連絡道および付帯工事も来年末には全て完成する。人工島のマカオから香港への連絡道も現在建設中である。

メリットは3都市間の移動時間短縮のみ?

 この頃、これらの工事に関する報道が次第にメディアに出始めた。関連報道によれば、港珠澳大橋が開通すれば、珠海~香港間の移動時間は、現在の水路で約1時間、陸路で3時間以上から20~30分以内へと短縮され、珠海・マカオ・香港は初めて陸路で結ばれることになり、珠海・マカオ・香港間の距離が大幅に縮まる、という。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


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地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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