「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ岸田文雄首相「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ岸田文雄首相(中央) Photo:JIJI

岸田文雄首相が、自由民主党総裁選の選挙戦中から掲げるキャッチフレーズである「新しい資本主義」が、なんとも「気持ち悪い」。心情としては「キモい!」と叫びたいくらいだ。筆者がそう感じるさまざまな理由をお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

岸田首相の得体が知れない思い込み
日本に「新自由主義」のレッテル貼り

 いい年をした書き手(筆者自身のことだ)が、記事の文章で「キモい!」というカジュアルな言葉を使うのはいかがなものかとも思う。であるのだが、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」に対する気持ち悪さは、「気持ちが悪く思えます」といったゆっくりしたテンポではなく、「キモい!」と、最短の秒数でこの気味の悪さを伝えたい。

 気持ちの悪さには複数の要因があるのだが、一番不気味なのは、「新しい資本主義」という言葉を唱えている本人が、その内容を分かっていないのではないかと思われることだ。しかも、その当の人物が、わが国の首相なのだ。国民は不安になる。

 岸田氏は、新しい資本主義について、さまざまに表現してきたが、まず、言っていることが意味不明だし、次には、言っている内容がブレている。つまりは、何をしようとしているのかが分からない。しかし、やみくもに何かを変えようとしている。