内部告発者による
衝撃的な議会証言

 上院の消費者保護小委員会(SCP)の公聴会で、フェイスブックの誤情報対策チームのプロダクトマネジャーだったフランシス・ホーゲン氏は、「フェイスブックは巨大な力を持ちながら、責任感を持っていません。子どもたちや公共の安全、プライバシーと民主主義にとって破滅的な影響をもたらす方針を選んでいます。変更を求めなければなりません」と証言した。

 ホーゲン氏はフェイスブックに2年間勤務し、2020年11月の大統領選の後、所属する部署が解散され、2021年5月に退職したが、退職前に同社の内部調査資料数千ページをコピーし、匿名でウォール・ストリート・ジャーナル紙に提供。そして公聴会の直前の10月3日、CBSテレビの報道番組「60ミニッツ」で身元を明かし、告発した。

 公聴会でホーゲン氏が特に問題視したのは、フェイスブックがユーザーの画面にどの投稿をどの順番で表示するかを決める仕組み「アルゴリズム」を変更し、ユーザーを極端な反応を引き起こすコンテンツに誘導することで、より長くサイトにとどまらせようとする方針を取ったことである。

「ユーザーがより多くのコンテンツを消費するほどフェイスブックはもうかります。感情が大きく揺さぶられるコンテンツは夢中になります。怒りの感情が起きるものほどもっと見たくなります」

 ホーゲン氏は「これによって最も危険にさらされるのは子どもたちです」と続けた。

「インスタグラムのアクセスランキングなどの増幅アルゴリズムの作用で、子どもたちは“ヘルシーなレシピ”といったトピックから摂食障害につながるような有害なコンテンツに、あっという間に誘導されることを、フェイスブックは知っているのです」

 さらに彼女はネットいじめの実態についても明かした。

「子どもたちはインスタグラムでいじめられ、そのいじめは家の中、そして寝室にまでずっと追いかけてくるのです。夜寝る前に見るのは自分に対するいじめ、そして朝一番に見るのも自分に対するいじめなのです」

 ホーゲン氏によると、フェイスブックの内部調査によって子どもたちがマイナスの影響を受けていることが判明しており、たとえば、10代の少女の3人に1人がインスタグラムによって体形へのコンプレックスを悪化させているという。

 これに対し、フェイスブック側は「内部調査結果は文脈が切り離され、一部を切り出したものだ」と否定し、ホーゲン氏については「子どもの安全、インスタグラムの内部調査に関わっておらず、まったく別の仕事に就いていた」と、証言者としての資格に疑問を呈した。

 しかし、フェイスブックは内部告発を受け、13歳以下の子どもを対象とした新しいインスタグラムの計画を中止すると発表した。