11月15日、中国の次の最高指導部の顔触れが出そろった。保守派(江沢民派)と改革派(胡錦濤派)の熾烈な権力闘争の結果は、一見すると保守派に軍配が上がったかのように思える。しかし、今後10年を見据えると、意外な姿が浮かび上がってくる。はたして新体制下で経済・社会改革は進むのか。

 これからの10年を担う新たなリーダーの肉声は、きれいな標準語だった。

「胡錦濤(こ・きんとう)国家主席は、国民に好かれない田舎なまりが特徴的だった。これに対し習近平(しゅう・きんぺい)氏は、自分の言葉で“夢”を語り、わかり易かった」(柯隆・富士通総研主席研究員)、「終始笑顔が絶えず、国民目線で親近感が持てる。声もよく通っていた」(加藤嘉一・ハーバード大学ケネディスクールフェロー)。

新指導部は、胡錦濤が最後に掲げた「2010年度比で20年度までに国民の所得を倍増する」計画の任務も負う
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 11月15日、中国共産党の第18期中央委員会第1回全体会議後の記者会見で、党の最高指導部である常務委員7人(チャイナセブン)の名前が読み上げられた。表にある新指導部の党内権力序列は、ここで読み上げられた順番である。

Photo:REUTERS/AFLO