日本のサービスとイスラエルのテクノロジーが結び付けば、世界を市場にできるのでは?11月6日に開かれたサムライベンチャーサミット in イスラエルを振り返る、サムライインキュベートの安藤氏とイスラエルイノベーションセンター・アドバイザーの谷口氏の対談の後編。(聞き手・ISRATECH編集長 加藤氏)

100人近いオーディエンスと活発な意見交換

安藤庄平(あんどう・しょうへい)2010年、豊橋技術科学大学工学部機械システム工学課程卒業。2011年、株式会社サムライインキュベートIncubate Associate of the Samurai Left Arm IAS就任。シード・アーリーインキュベート事業とグローバルローカライズ事業を担当する。2012年、東京理科大学大学院総合科学技術研究科MIP修了。

加藤 サムライベンチャーサミット in イスラエルを11月6日に開催されたわけですが、サムライ・インキュベートとして訪問される際の「てみやげ」として「イスラエルイノベーションセンター(IIC)」を設立しましたよね。サムライ・インキュベート代表の榊原さんは目指すは渋沢栄一と言っておられますが、私は岩倉使節団とサムライ軍団は被るものがあると思った。
当初は、イスラエルに、「日本イノベーションセンター」を設立する構想もありましたが、イスラエルでなく、日本に「イスラエルイノベーションセンター」置くことに意味がある。

安藤 そうですね。IICのことはイスラエルのメディアの取材でも取り上げられましたね。谷口さんにアドバイザーに就任していただき、うちのサムライスタートアップアイランド(SSI)内に、イスラエルのスタートアップコミュニティとの連携を深めていく拠点として開設しました。イスラエルの起業家で日本に出ていきたい人に活用してもらおうという狙いです。

加藤 さて、11月6日にヘルツェリアで開催されたSVSですが、どうだったでしょう? サムライさんはシリコンバレーだけでなくインドネシア、タイ、ベトナムでもSVSをやっていて「アジアナンバーワンのインキュベータ」という触れ込みで行かれたと思いますが……。

安藤 SVSに集まった人の反応は「日本からスタートアップとインキュベータが来てくれた」というほうが強かったですね。アジアというと、すでに中国、韓国が来ていてイスラエルにR&Dセンターがある。でも日本の大企業のR&Dセンターはまだ一つもないし、スタートアップもあまり来ていないということで歓迎されました。

今回のSVSはシリコンバレーなどで行うのとは少しスタイルを変えて、起業家たちがプレゼンをして投資家などの評価をもらうだけでなく、「日本とイスラエルのスタートアップがどうしたら一緒に成功していけるのか」というテーマで、ブレスト的に会場から意見を募ったりしました。100人近いオーディエンスがどんどん発言するので、イスラエル人は議論好きだと本に書いてあったけどホントにその通りだ、と。シリコンバレーでやったときは、プレゼンに対して「これはいい」「これはダメ」「こんなマネタイズじゃダメ」みたいにマルバツでジャッジされる感じなんですけど、イスラエルの人は具体的に「こうしたらいい」と提案までしてくれる。