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China Report 中国は今

国民悲願の「公平に」は絵に描いた餅?
習近平政権にのしかかる「社会格差」の負の遺産

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第113回】 2012年11月30日
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 11月、中国では新政権の発足とともに、新しい時代が幕開けした。だが、新しいリーダーたちに期待を抱く国民はどれほど存在するだろうか。少なくとも上海は、もともと政治への関心が低い土地柄というせいもあるだろうが、メディアの騒ぎとは裏腹に、上海市民の無関心さは際立っている。

 彼らの声を拾ってみると、そこにあるのは期待ではなく、むしろ諦めであることがわかる。

 「まったく期待しない」「器が変わっただけ」との冷めた反応は少なくない。「新政権に期待を寄せる連中がいるとしたら、それは相当問題だ」というコメントすらあった。

新指導部はどう人民に尽くすか?
国民の切実な願いは収入格差の是正

 11月14日、中国共産党の第18回党大会が終わり、翌15日、習近平氏が党総書記に選出されたが、そんな上海市民も耳を傾けたのが、習近平氏が記者団に向けて行った演説だった。

 「対人民負責、為人民服務」(人民に対して責任を負い、人民のために尽くす)――。

 毛沢東氏が残した有名な政治スローガンに「為人民服務」という言葉がある。残念ながら今の中国では、人民は党員幹部らの汚職の犠牲となっており主客転倒な状況だが、習近平氏は本来の「人民のため」への回帰を強調すべく、「対人民負責、為人民服務」という言葉を使ったのだ。政治に無関心な上海市民も、その一言には一定の評価を与えたようだ。

 では、人民のためにどう尽くすべきなのか。

 「新政権が解決すべき課題とは?」という筆者の問いに、上海市虹口区に住む会社員の女性は、切実にこう訴えた。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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