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生活習慣が子孫繁栄のカギ?
高品質の精子は適度な運動から

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第128回】

 欧州の応用生理学の専門誌に報告された研究によると、適度な運動習慣がある男性の精子は高品質らしい。スペインはコルドバ大学の研究報告から。

 研究では、31名の男性を対象に運動習慣の有無と精子の質との関連を調べた。その結果、適度な運動習慣がある男性の精子は、座りがちな生活習慣の男性より有意に運動性が高く、正常な形態の精子数が多かったのだ。また、精子形成に必要なホルモンバランスも、運動習慣がある男性では良好に保たれていた。

 気になるのは研究対象の男性が19歳前後と若いこと。加齢臭漂う中高年ならいざ知らず、男性ホルモン分泌がピークの年齢で精子の質に「黄色信号」がでているのだ。即、男性不妊に結びつくレベルではなかったにせよ、現代の若者の間に蔓延している「座りがち」な生活習慣は、不妊カップルの増加と無関係ではあるまい。

 実は、この半世紀の間に精子の質は著しく低下しているといわれている。WHO(世界保健機関)の精液評価基準は2010年に最新版が出されたが、その際、基準値が旧1999年版から大幅に緩和された。例えば、正常な精子濃度は1ミリリットル中2000万個以上から1万5000個以上へ、正常形態精子率が30%以上(奇形率70%未満)から4%以上(同96%未満)へ変更されたのである。旧99年版の基準値では、現役男性のほとんどを「異常」とせざるを得ないからだろう。

 精子の質や機能低下との因果関係が指摘されているのは、肥満、DHAなどオメガ3脂肪酸の摂取不足、炭水化物の過剰摂取などの食生活因子。このほか、現代人の身体の一部と化している携帯電話や無線LANの使用が悪影響を及ぼすことも示されている。今回の報告で、身体を動かさない生活も危険因子に加わったわけだ。ただ、アスリート並みの「身体の酷使」は、逆に精子の質低下を招く。運動するなら、週150分程度のウォーキングや筋トレが望ましい。

 若い世代の生活習慣は家庭環境の影響が大きい。息子や孫世代のことを考えるなら、一家で生活習慣を見直した方が良さそうだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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