加えて金融庁は、「自浄作用が十分に機能しているとは認められない」と突き放してもいる。論理的につなぎあわせると、「みずほには、やるべきことができる組織風土がなく、その問題を解決する能力がない」と判断したということになる。

 金融庁がそう思うことに特段の違和感はない。同時に同庁は途方に暮れてもいるのだろう。

 金融庁が検査に入っている最中にもシステム障害は起きた。しかも、外貨の送金に関わるシステムに障害が生じた際には、マネーロンダリング防止のチェックをスキップする外国為替及び外国貿易法(外為法)違反が疑われる事案が発生した。これは、システムのトラブルだけではなく、人間の違反行為だ。日本の銀行の国際的な信用にも関わる。組織としてボロボロだ。

ガバナンスが「立派」な企業で不祥事連発
社外取締役は機能しているのか?

 みずほFGの坂井辰史社長とみずほ銀行の藤原弘治頭取は、既に来年4月1日付けで辞任する意向を発表した。トップの引責は当然と思われるが、これは過去の責任の明確化ではあっても、解決策ではない。

 なお些末な問題だが、みずほFGの佐藤康博会長は一連の不祥事を受けて、財界活動を1カ月自粛すると報じられている。佐藤氏は同グループの経営にあって長年影響力持っていた実力者である。みずほ銀行がこれだけ無様な状態に陥ったことに関して、少なからぬ責任があるはずだ。みずほFGの対外的なメッセージとしても、ご本人の名誉のためにも、財界活動を「休止」ではなく「やめる」方がいいのではないだろうか。

 問題を恥じない佐藤氏のメンタルの強さには感心するとしても、失敗した経営者が財界活動に関わるのは率直に言って見苦しい。みずほFGにとってもイメージ上マイナスだろう。

 もっとも、ある大企業の関係者から聞いたことがあるのだが、経済団体での活動は、経営者OBが会社以外の場所でエネルギーを使ってくれるので、会社に影響を及ぼさなくなるという意味で好都合な場合があるのだという。確かに、歴史のある経済団体には、経営者OBの隔離施設的な趣がある。