刑事告発に政治ロビー活動
杉本彩氏のファイティングポーズ

――理事長を務める動物環境・福祉協会Evaは近年、悪質な繁殖業者などに対して刑事告発を行っています。ものすごいファイティングポーズです。

 どんなにひどい虐待行為でも動物については厳正に裁かれていない、という思いからです。刑事告発という手段を選ぶことには大変な覚悟が必要でしたが、迷いはありませんでした。私が顔と名前を出して告発することで、動物虐待は犯罪だと伝えられ、同じような事件の抑止につなげられると信じています。

――国政や地方行政に対するロビー活動も行っています。実際に動物愛護管理法の改正局面では、一定の影響力があったと評価されています。

 陳情のために議員会館に朝から晩まで詰めて、「杉本彩が部屋を回っている」と国会議員の間でうわさになるほどでした。最初は会える政治家に手当たり次第に会っていましたが、徐々に「誰に働き掛ければ物事が動くのか」を学びました。

 大事なのは時間をかけて議員と信頼関係を築くこと。議員は活動が評価されて選挙の票につながらなければいけない。そういう構造もくんで、活動してきました。

杉本彩氏すぎもと・あや/1968年京都府生まれ。20代から保護犬、保護猫を引き取るなど動物保護活動に取り組んできた。2014年に動物環境・福祉協会Evaを設立。近著に『動物は「物」ではありません! 杉本彩、動物愛護法“改正”にモノ申す』(法律文化社)。 Photo by Y.A.

 動物愛護管理法の前回の法改正(2020年施行)については3年ほど、超党派議員連盟のアドバイザリーとして関わり、動物虐待に対する厳罰化に成功しました。

 ただ、法は「あるだけ」では不十分。実際に適用されなければならない。悪質な繁殖業者など動物を虐待する人間がいるのに処分されていないなら、刑事告発をするし、それでも足りないなら検察審査会への異議申し立てもしていきます。