ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
強い会社の「儲けの公式」  あのビジネスは、なぜ成功しているのか?
【第2回】 2012年12月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
村井直志 [公認会計士村井直志事務所・代表]

AKB48は、なぜブレイク前に駅前の一等地に
専用劇場を持てたのか~後編~

1
nextpage

秋葉原のドン・キホーテ8階にある「AKB48劇場」(エーケービーフォーティエイトシアター)。ココは、会いに行けるアイドルというコンセプトのAKB48にとって重要な拠点ですが、この“自前の専用劇場を持つ”というのは、初期投資や維持費が大きいもの。普通に考えればブレイク前のアイドルがそんなことをするのはかなり無理があるはずです。

この疑問を会計的にナゾ解いてみるとどうなるのか?新刊「強い会社の『儲けの公式』」より、なぜAKB48はブレイク前に駅前の一等地に専用劇場を持てたのか、を探ってみたいと思います。今回は後編になります。

AKB48は「ハイリスク・ハイリターン」ビジネス。
固定費が大きいビジネスは黒字になると儲けが大きい!

 そもそも経費には、変動費と固定費があります。会計的に考えると固定費の大きなビジネスは「ハイリスク・ハイリターン」です。固定費が大きい場合、損益分岐点を超え、一旦利益が出始めると加速度的に儲けが増え、逆に一旦損失が出始めると坂を転げ落ちるように赤字が積み上がっていくという特性があります。

 AKB48で考えてみると、変動費は、売歩と呼ばれる変動家賃と劇場で必要となるチケットの印刷代やグッズの制作費程度です。大半は劇場の固定家賃や光熱費といった維持費、彼女たちや運営スタッフへの給料=人件費だったりするわけです。

 固定費は観客が少なくても必ずかかる経費です。このように考えると、実はAKB48のコスト構造は、変動費よりも固定費のほうがはるかに大きな割合を占めているハイリスク・ハイリターン型のビジネスモデルといえます。

 とすれば、ここで、固定費を減らせばよい、という発想が生まれてきても会計的には不思議ではありません。そうすれば、全体の経費は下がり、経費トントンとなる損益分岐点も下がり、ミドルリスク・ハイリターンを目指せるからです。

 そもそも、彼女たちの成功要因のひとつに、AKB48劇場という箱モノの存在があります。すると、当然、劇場の維持管理費である固定費がドカンと発生することになります。劇場を建設することと、固定費が発生することは、避けられない事実として秋元氏側に現れるのです。そこで、この固定費を何とか下げられないか?と考えたのでしょう。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
日本株は、バブルではない

日本株は、バブルではない

藤野英人 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2015年7月

<内容紹介>
日本株を買っておくことが、なぜ安心なのか? この日経平均高はバブルではないのか? アベノミクスの本質とは何か? この1冊ですべてがわかる。外国人投資家も注目する「伊藤レポート」をベースに日本企業が迫られている変革と現状、今からの相場、日本経済と株価のゆくえをカリスマファンドマネジャーがやさしく解説!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、8/16~8/22)


注目のトピックスPR


村井直志 [公認会計士村井直志事務所・代表]

公認会計士村井直志事務所・代表(公認会計士。経済産業省・中小企業庁認定経営革新等支援機関。日本公認会計士協会、公会計協議会、地方公共団体会計・監査部会員)。
中央大学商学部会計学科卒。税務事務所、大手監査法人、コンサルファーム、東証上場会社役員などを経て、公認会計士村井直志事務所を開設。日本公認会計士協会東京会コンピュータ委員長、経営・税務・業務各委員会委員など歴任。 2013年日本公認会計士協会研究大会に、研究テーマ『CAAT(コンピュータ利用監査技法)で不正会計に対処する、エクセルを用いた異常点監査技法』で選抜。
ビジネスにまつわる「数字」を分かりやすく伝承するアカウンティング・キュレーターとして、経営コンサルティング・監査・不正調査のほか、セミナー・執筆などを行う。
著書に、『Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く』(中央経済社)、『強い会社の「儲けの公式」』(ダイヤモンド社)、『会計ドレッシング10episodes』、『会計直観力を鍛える』(以上、東洋経済新報社)他がある。

 


強い会社の「儲けの公式」 あのビジネスは、なぜ成功しているのか?

この不況の中でも儲かっているビジネスはあります。「こんなことをしたら、赤字だろう」「常識的に考え、無理だろう」一見するとそう思われるビジネスが、成功していたりします。しかし、実はこれ、会計的視点でみると「なるほど、そういうカラクリなのか!」と合点がいくものばかりなのです。本連載では、書籍『強い会社の「儲けの公式」』から要点をピックアップ。数字から経営やビジネス展開を読み解く第1歩になるはずです。

「強い会社の「儲けの公式」 あのビジネスは、なぜ成功しているのか?」

⇒バックナンバー一覧