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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

虎穴に入るくらいなら、虎児なんて要らない!
リスク回避症の日本人を「プレゼン下手」から救う法

――処方箋⑭“本当の”フィードバックをし合えるネットワークをつくれ

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第14回】 2012年12月12日
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プレゼン後に質問が殺到すると
喜ぶアメリカ人、ビビる日本人

 筆者が米国の大学院で勉強していた頃、学会や研究会で自分の研究発表を行なう機会が何度かあった。当然のことながら、聴衆のほとんどはアメリカ人の大学生や大学院生、それにプロの研究者たちだ。

 ネイティブスピーカーでもなく、20代後半になってから初めて渡米した私の英語は、お世辞にも上手いとは言えなかったし、英語での発表にも慣れていなかったため、緊張で口から心臓が飛び出そうになったのを今でも思い出す。

 中でも怖かったのは「質問」である。

 「答えられないような質問が来たらどうしよう」

 「大御所の先生から批判されたらどうしよう」

 「相手の英語がわからなかったらどうしよう」

 そんなことばかり考えていた。そして驚いたのが、そんなプレゼンを何とか終えた後の、アメリカ人の友人の反応だった。

 「プレゼン、すごく良かったよ。その証拠にたくさん質問もらっていたよね」

 こちらとしては、できれば質疑応答は避けて通りたかったのだが、アメリカ人の感覚では「質問がない」方が失敗だと思い、落ち込むのだ。日本人とは大きな違いである。

 このような緊張する場面について、社会人として似たような経験をした人は多いだろう。上司に話したり、社内外でプレゼンをしたりするときに、頭が真っ白になってしまったなどという話もよく聞く。

 こうした状態は「あがり症」と言われることが多い。人前で話すと緊張を感じるのは異常なことではないが、その程度が強くなって、赤面したまま話せなくなったり、ろれつが回らなくなったり、異常発汗やめまいなどの症状が出ると、それは「社会不安障害」という病気と診断されることがある。いわゆる対人恐怖症というものだ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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