アフリカの大地で、沈む夕日を受けて金色に輝く水場が、わたしたちにとって何よりも尊くて美しいものだと本能に刷り込まれた。そのため文明が進んでいつでも水が手に入るようになった現代でも、わたしたちは本能的に金色に輝くゴールドにひかれるというわけです。

 金が水の象徴だったという学説は興味深いものですが、金には他の金属にない特徴があったことも重要でした。他の金属は、鉄のようにさびたり、銀や銅のようにくすんだり、ないしはスズのように低温になるとぼろぼろになったり、必ず劣化する特徴がありました。ところが金だけはその輝きが変わらない。明らかに他の金属とは違う特徴が存在したのです。

 そして、金は量が少なく極めて貴重な金属です。有史以来人類が集めてきた金を全部まとめても、オリンピックプール3杯分にしかならないというのは有名な話です。今でも金鉱での採掘は続いていますが、採掘可能な埋蔵量をすべて掘り出したとしても、残りはプール1杯分。つまり金の絶対量は限られているのです。

 貴重でかつ数が限られているから、価格が高騰する。ここまでは分かりやすいのですが、金の残念な特徴として「常に価格が上がる傾向にあるわけではない」という事実があります。

 その理由は、金は同じ投資対象でも株のようには成長しないからです。