中国が2030年に世界一の経済大国に?北京大教授が語る「成長の3つの鍵」とはPhoto:Eternity in an Instant/gettyimages

中国は2035年までに、社会主義現代化強国へ向けての第一段階を実現するという目標がある。さらに、同年から2049年までに現代化強国の第二段階を終えて、社会主義現代化強国になるという目標を掲げており、その実現には一定の成長率が必要だ。今、中国経済はコロナ禍により一定の制約を受け、先行き不透明といえるが、米国を追い抜く強国になれるか。北京大学・国家発展研究院院長の姚洋教授の発言からひもといてみよう。(フリーライター 吉田陽介)

「中国は米国を追い抜く」
“野心的”な見方を示す中国人経済学者

 北京大学・国家発展研究院院長の姚洋教授は2020網易エコノミスト年会で、「2028~2030年に米国を抜いて世界一の経済大国になる」と述べるとともに、「2049年に、二つ目の100年の目標(*)が実現するとき、中国人の所得は少なくとも45%アップし、経済規模は米国の2倍になる」という見方を示した。
*建国100周年までに社会主義現代化強国の完成を達成すること

 中国は人口大国なので、総量で米国を抜くことは必然だろう。ただ、中国の発展レベルにばらつきがあるため、1人当たりの規模は米国に及ばず、総量だけでなく、1人当たりでも米国を追い抜くことは容易なことではない。

 それに対し、姚教授は「わが国の成長のスピードが米国のそれを1.5ポイント追い抜けば、わが国はこの目標を達成できる」と述べた。

 その根拠として、姚教授は2020年の中国のGDPは14兆7300億ドルだったが、それに対し、米国のGDPは20兆9300億ドルで、米国に迫っていることを挙げた。

 確かに、大きな落ち込みがなければ、中国は米国に肉薄するとみられ、姚教授の指摘するように、2030年に中国は総量で見れば米国に代わって世界1位の経済大国になるだろう。