ロシアの液化天然ガス(LNG)基地からLNG運搬船にのびる積み出しのパイプロシアの液化天然ガス(LNG)基地からLNG運搬船にのびる積み出しのパイプ Photo:JIJI

ロシアによるウクライナ侵攻に対し、欧米企業がロシア事業から撤退する動きが相次ぐ。そんな中、三菱商事、三井物産が参画するロシアの液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」の動向に注目が集まっている。特集『混迷ウクライナ』の#7では、苦境に立たされる三菱商事、三井物産の裏事情に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

BP、シェル、エクソン…
ロシア撤退ドミノ始まる

 ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った2月24日から3日後、石油メジャーの一角、英BPがロシア事業から撤退する方針を決めたニュースは、世界のエネルギー業界を驚かせた。

 このニュースを聞いた日本のあるエネルギー業界関係者の脳裏を、“最悪”シナリオがかすめた。「これはシェルとエクソンにも波及するかもしれない」。

 石油メジャーによる“撤退ドミノ”という嫌な予感は、的中してしまった。BPの撤退方針が明らかになった翌日に英シェル、さらにその翌日に米エクソン・モービルもロシア事業から撤退する意向を表明したのだ。

 ロシアからの撤退を表明したシェルが参画する液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」には、三菱商事、三井物産も参画している。シェルのロシア撤退のニュースを受け、両社は情報収集に追われていた。

 大手商社関係者は「日本は、英国や米国とエネルギー事情が大きく異なる。とはいえ、難しい対応を迫られるのは間違いない」とみる。

 欧米企業と歩調を合わせるべし――。国際社会からはそんな主張も聞かれるが、三菱商事、三井物産がそう簡単にサハリン2から撤退できない裏事情がある。

 次ページ以降では、その裏事情について解き明かしていく。