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インキュベーションの虚と実

リーン時代は徹底した実践と盲信しない目が大切
「リーンスタートアップカンファレンス」レポート(1)

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第17回】 2012年12月25日
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 リーンスタートアップが注目されてから数年がた経つ。「リーンスタートアップ」著者エリック・リース(Eric Ries)が「The Lean Startup」を提唱したのが2008年だ。筆者がリース氏についてブログで紹介したのが2009年だった。本連載でも第5回で取り上げた。

 「The Lean Startup」とは、小刻みなサイクルで顧客フィードバックを得ながら、時間や経営資源を無駄にせず、事業や製品をつくるアプローチである。

 米国のスタートアップは、「リーンスタートアップ」方式で起ち上げることが常識化し、IT/ネット系スタートアップに限らず、応用分野が広がっている。しかし、日本では言葉すら知らないという人も、まだまだ多い。

 今回は、12月3日にサンフランシスコで開催された「Lean Startup Conference 2012」で議論されたスタートアップ関連の話題を中心に、紹介していきたい。

48時間で5回ピボット
事業づくりを時間短縮

 リーンスタートアップの分かりやすい実践例が、本コンファレンスの前日に開催された「リーンスタートアップマシーン」なるイベントだ。優勝チームは、なんと48時間の間に5回もピボット(事業やビジネスモデルの転換)した。

 リーンスタートアップマシーンは、金曜晩から日曜晩までの約48時間で、その場で初めて出会ったメンバーで編成されたチームが、実際にサービスを創造し、顧客を獲得するまでトライするものだ。

 優勝チームの事業創造の過程を振り返ってみよう。

■事業アイデア1つ目「RestoTax.com」

 まず金曜の夜に出された第一のアイデアは「RestoTax.com」だった。サンフランシスコにある従業員20人以上のレストランでは、福利厚生のため値段の4%を徴収している。チームはこの計算処理が面倒だから解決するニーズがあるだろうと考えた。

 そこで、レストラン7軒のジェネラル・マネジャー(店長)に実際に聞いてみると、実務は税理士に丸投げしているから、ニーズはないということがわかった。

 ここまで費やしたのは4時間。すぐにピボットすることにし、次は40人の税理士にニーズがあるかヒアリングするためにアプローチした。すると、3人から回答を得て、3人とも自分で計算はしていないとのことだった。

 この間、約3時間。あきらめてピボットすることに決定した。

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

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