日本は発展途上国支援に長年取り組んでおり、その努力は高く評価されている。一方でそのように、地域の安定化に貢献し、ビジネス環境の整備をしているのに、実際の企業進出における旨味は他国に先んじて奪われることも多い。そのようななかで、ミャンマー支援においては、今までの長年の友好的な関係を活かして、短期間でオールジャパンの支援体制をがっちりと固めることに成功している。なぜミャンマーにおいては、このような体制固めが可能だったのだろうか。前回に引き続き、日本の政界・財界を含めてのミャンマーとの交流活動を積極的に推進している日本ミャンマー協会の関晃典専務理事に、日本の政財界のミャンマーへの取り組み体制について話を伺った。
3つの議連が結束
政党を超えて動き出す
一般社団法人日本ミャンマー協会専務理事。丸紅国際業務部でタイ駐在時代に、ミャンマーの支援に関わる。丸紅退職後、笹川平和財団を経て、2012年3月、日本ミャンマー協会発足と同時に専務理事に就任 Photo:DOL
――ミャンマー進出に関しては、昨今政財界を含めて活発に動いていると認識していますが、特に政界においてミャンマー支援に対してどのような動きがあるのでしょうか。
これはアウン・サン・スーチーさんが、自宅軟禁から解除される前と後では大きく違った動きを見せています。以前、自宅軟禁下にあったときは、日本には日本ミャンマー議連が3つくらいありました。そのうちの一つが、スーチーさんの支援を目的としていました。支援者には、スーチーさんと彼女が京都大学に滞在していた時代に交流があった鳩山由紀夫さんも含まれています。それから自民党のどちらかというと右派に近い人の議連もありました。一方で、スーチーさんが解放されて以降は、日本ミャンマー議連は一つになっています。
――3つの日本ミャンマー議連がまとまった時のまとめ役は誰ですか。また3つの議連が集まった中で、足並みはそろっているのでしょうか。
日本ミャンマー協会の渡辺秀央会長が、そのリーダーシップを取った一人です。現在の議連は、当然皆さん多少のスタンスの違いはあるとは思いますが、ミャンマーに対する関与を高めたいという意識で動いていますね。
――そうした日本ミャンマー議連をはじめとした政界において、現在のミャンマーに対する関心のポイントはどのような点ですか。
より安全保障の観点から、域内の安定化に積極的に関わっていくという点があります。ASEANの中で民主化の一翼を担う国として成長をサポートすることが、地域の安定化につながるので、そのためには経済面での支援を含めて現在遅れている点を積極的に支援しようという意向が強いですね。