日本も人ごととはいえない
働き方・生き方の目標

 さて、3番目以降の目標には、わたしたちの働き方・生き方に関わる目標が続きます。

目標3 すべての人に健康と福祉を
 日本は医療のレベルが高く、健康保険も充実しています。しかし目を細めて見ると、やはり遅れている項目があります。

 アルコールの有害な摂取の防止については、キリンが最近、「飲み放題の中止」に動いたことが話題になったように、日本人のお酒の飲み方、飲食店の飲ませ方を変える必要があります。また、たばこや違法薬物も含めて依存症の治療もゴールに入っています。依存症になった人が悪いのではなく、依存症から救うのも国や社会の目標だとSDGsは求めているのです。

目標4 質の高い教育をみんなに
 日本の場合は、教育の場でのジェンダー平等性が「質の高い教育をみんなに」という目標に到達するための一番のチャレンジです。入試で点数の高い女性を不合格にしてきた大学が多数見つかっていますが、これでは持続的目標からはほど遠いのです。

 企業の場合にも教育目標が掲げられています。中でも高い技術的・職業的スキルを持った若者の数を倍増させるという目標を見落としている大企業がありそうです。スキル教育を必要としない非正規雇用に過度に依存せず、正規従業員の数を増やしていく努力が求められています。

目標5 ジェンダー平等を実現しよう
 ここは、日本の積年の課題です。1999年に男女雇用機会均等法が大幅に改正されて以来、多くの企業でジェンダー平等の取り組みが義務付けられてきたのですが、それがまだ日本では不十分だというのは多くの皆さんが認識するところでしょう。SDGsのゴールの意味は、「女性が活躍できない社会は持続的ではない」だと理解すべきです。

 この一連の目標からわかることは、「持続可能な」という言葉は地球にかかる場合以外に、わたしたち人間にもかかる言葉だということです。

 人間として暮らしにくさを感じさせない社会こそが持続的であり、それを目指さなければいけないということが、SDGsのゴールというわけです。