ここからは、社会の仕組みについての課題が続きます。

目標9 強靭なインフラ、技術革新の基盤
 日本の場合は、インフラは現時点では世界の合格点に達していると思われます。課題はむしろイノベーションをどう増やしていくかです。苦手分野として挙げられるのがベンチャーの育成と、IT産業の育成、そして研究開発従事者の数を増やすこと。理研で大幅な人員整理が問題になっていますが、研究者減らしはSDGsには逆行する行為です。

目標10 国内および各国間の不平等を是正する
 不平等について我が国ではかなり改善してきたという認識があるかもしれませんが、国連のガイドラインを見るとまだまだゴールは先にありそうです。国内の不平等については正社員と非正規従業員の不平等が国連的に言えば改善項目で、少なくとも非正規従業員の所得成長率は、全体平均を上回らなければいけないとされています。

目標11 住み続けられる町づくり
 世界では都市部のスラム化が問題ですが、日本の場合は地域の過疎化、限界集落化にどう取り組んでいくかが課題になります。2040年ぐらいの未来であれば、ロボタクシーや農業のDX化など地方が住みやすくなる技術変化に期待できますが、SDGsが掲げる2030年目標となると、脆弱(ぜいじゃく)な立場にある国民をどう救っていくか、難しい課題が残りそうです。

目標12 持続可能な消費・生産
 サステナブルというと、多くの人が目標7のグリーンエネルギーとともにこの目標をイメージすることでしょう。この4月から飲食店やホテルに対してプラスチックストローやフォーク、使い捨て歯ブラシといった製品の提供を見直す法律が施行されました。使い捨てを減らしごみを減らす一方で、回収した廃棄品をどうリサイクルするかまでプロセスを考えた企業活動が求められています。

 このページで挙げた目標は、SDGsが定められる以前から日本の課題として浸透してきたものでもあります。そろそろおなかがいっぱいになってきたかもしれませんが、実はこの後、13番目以降の目標が2020年代の宿題になりそうなので、このまま付いてきてくださいね。