政府の環境目標引き上げで
日本でもEVシフトが進むか

 一方で日本はどうかというと、日本の自動車メーカー各社が相次いでEV戦略を発表しましたが、日本は長年ハイブリッド技術に多大な投資をしてきた経緯もあり、欧州のようなスピード感でバッテリー電気自動車(BEV)へのシフトが進むかどうかはまだ定かではないかもしれません。ボストン コンサルティング グループ(BCG)の2021年の調査によると、現状の日本の新車販売台数はハイブリッド車が20%以上を占めており、しかも今後も30%程度のシェアを保っていくことが予想されています。一方で、テスラに代表されるようなBEVはまだ1%程度であり、10年後でもまだ15%程度との見立てです(下図)。

 また、都市部では多数の欧州車が走っている一方で、郊外では国産の軽自動車が根強く支持されていることから、エリアによってもEVシフトのスピードは異なるのではないかと思われます。

 さて、カーボンニュートラルへの注目が高まる中、日本政府は2021年4月、「2030年度に温暖化ガス排出を2013年度比で46%減らす」という方針を発表しました。従来の目標は「2030年に26%減、2050年に80%減」でしたが、これを「2030年に46%減、2050年に脱炭素化」と大幅に引き上げました。地球温暖化への対応は待ったなしだ、というメッセージを強く印象づけた、非常に象徴的なアナウンスだったと思います。

 そして、2021年7月には、46%削減目標の内訳も発表されました。大まかには、削減量の3~4割を再生可能エネルギーによる代替で捻出し、残りは企業や家庭の省エネを通じてエネルギー消費自体を抑えるという内容です。部門別の削減目標は、産業部門で37%、家庭部門は66%、運輸部門で38%、業務その他部門で50%。これを8年強で実現すべしと、国が各産業へ明確に「期限」を突きつけた、と言えるでしょう。