トレンドは「爆買い」旅行から
「体験」重視の旅へ?

 彼らのように、これまで海外旅行に出かけることを楽しみにしていた中国人の目が今、国内に向けられている。ブランドショップなどが立ち並ぶ海南省などに行って「爆買い」している人もいるが、多くはショッピングよりも地方の名所旧跡を訪ねたり、地方でしか味わえない料理を堪能したりするスタイルの旅行にハマっているようだ。旅の仕方自体も、団体ではなく個人へ、ツアーではなくフリーへ、体験型へ、というふうに変わってきている。

 そんな彼らに「もしまた海外旅行ができるときがきたら、行ってみたいか」と尋ねてみると、間髪入れず「もちろん行きたい」という声が圧倒的多数だった。しかし、取材した人々の間では、「爆買い」という言葉にはやや否定的だった。

「ただ買い物をするだけの旅行はつまらない。その国でしか体験できないことを体験したい」という声が多かったからだ。日本など海外の商品は中国のネットでも購入できるので、わざわざ出かけてまで買い物をする必要性はないという理由と、冒頭の男性が話していたように、「旅の醍醐味はその国の人々と出会ったり、触れ合ったりすることだということに気づいたからだ」という声があった。

 むろん、まだそうした体験目的の旅行をする人たちばかりではないだろうが、数年間のコロナ禍の経験により、中国人のお金の使い方や、旅行に求めるものに“変化”が生じていることは確かだといえる。