過去を調べれば、金融緩和が資産インフレを起こしていることに気づく。そこで、2013年に出版した拙著『マンションを今すぐ買いなさい』では、「2年後に25%上がる」と明記した。これは、過去の金融緩和で起こった資産インフレと同じ数字である。

マンションを早く買った人ほど
「もうかった」といえるワケ

 国土交通省は中古マンションの成約事例から不動産価格指数を発表している。東京都のマンション価格は、この9年で7割以上値上がりしている。金利が下がったことによって、2割程度価格が上がっても月の返済額は変わらない。東京では家賃が上がったこともあり、実質の値上がりはそれほどでもないが、早めに買っていた人ほど、資産インフレの波に乗ってもうかったことになる。

 21年の首都圏のマンション平均価格は6260万円だった(不動産経済研究所調べ)。9年前の12年は4540万円で、新築マンションは38%も値上がりしている。しかし、一言で首都圏といっても、立地は悪化している。先ほどの不動産価格指数は指数というだけあって、立地を補正して「同じ立地だったら」という前提で計算されている。それだけではない。新築の専有面積も、9年間で70.4平方メートルから66.9平方メートルに約5%小さくなった。

 つまり、この9年間で新築マンションの立地は悪くなり、面積は小さくなったわけだ。特にこの1年の悪化は目立つ。筆者が独自に作成している新築価格のインデックスは、昨年中古価格のインデックスに抜かれている。これは、中古のほうが新築より立地がいいことを意味する。

 マンション価格の高騰で「この価格ではマンションは買えない」と言う人が増えた。そんな嘆きに関係なく、マンション価格は少なくともあと3年間は上がると筆者は考えている。現状の金融政策を維持すると明言している黒田日銀総裁の任期があと1年あり、その時点で仕入れた高値の土地は、その2年後の25年以降に供給されることになるからだ。年率8%の上昇が続くとすれば、25年の首都圏の新築マンション価格は7800万円になり、都区部の価格は9983万円、つまりざっと1億円になっている。