成果を上げるには<br />仕事の手段としての<br />会議の生産性を上げよダイヤモンド社刊
1890円(税込)

「会議は、懇親の場ではなく仕事の場としなければならない。会議の生産性をあげるには、事前に目的を明らかにしておかなければならない。目的が違えば、準備も成果も違うはずである」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)

 知識労働の生産性向上の基本は、行なう必要のないことは行なわないことである。常に、それをしなければ、会社はつぶれてしまうのかを考えなければならない。

 典型が会議である。会議の多くは、事業の発展とはほとんど関係のないことに費やされている。

 そもそも会議の多い組織は、構造の間違った組織である。あるいは、顧客が価値とするものが明らかでない自信のない組織である。いちいち会議を開かないと心配でならない。

 組織における他のあらゆる活動と同じように、会議にも目的がなければならない。目的もなしに会議を開いてはならない。

 会議には、連絡のためのもの、周知させるためのもの、意見を出させるためのもの、決定するためのもの、トップがうんちくを傾けるためのものなどがある。いずれも必要である。しかし、目的はさっさと果たし、一時も早く閉会しなければならない。会議に出ているあいだは、仕事ができない。

 会議の生産性を上げるにはいくつかのルールがある。

 第一のルールは、目的の明らかでない会議は開かないことである。そのためには、会議の数を強制的、自動的に半減させる。

 第二のルールは、出席者の数を減らすことである。ドラッカーのクライアントのある企業では、会議の趣旨と出席すべき者の名を回覧するだけにしたという。他の者は、出席しようがしまいがまったくの自由としていた。

 第三のルールは、あらゆる手立てを講じて、会議の時間を短くすることである。たとえば、キヤノン電子では座らずに会議を開いている。当然、会議の目的を達したらただちに閉会している。

 ところが、世の中には、単に定められた日時というだけで、人を集めている組織がある。

「会議の生産性をあげるには、セルフコントロールを必要とする。会議の目的を決め、それを守らなければならない。目的を達したら直ちに閉会する。総括して閉会とする」(『経営者の条件』)