社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

【逆算型思考の落とし穴】夢をかなえても「なぜか幸せじゃない人」の共通点Photo: Adobe Stock

目標があったほうがいい「逆算型」

前回、人には、「目標があったほうが頑張れる逆算型」「目標がないほうが人生が充実する積上型」という大きく分けて2つのタイプがあることを説明しました。

今回はまず、「逆算型」の特徴から見ていきましょう。

逆算型は、将来の目標や理想の姿を具体的に描き、そこから逆算して現在何をすべきかを考え、計画的に行動することで、人生が切り開かれていきます。
「10年後、こうなりたい」という状況を思い描き、そのためには5年後に何をしていればいいのか、その5年後のために1年後に必要なものは何か、そして1年後のために今月は何をすべきなのか……というように逆算して、今やるべきことを決めることで、モチベーションを高く保ちながら行動できます。
ゴールを重視し、そこに到達するための道筋を綿密に計画し、着実に実行していくため、逆算型の人にとって目標は単なる夢物語ではなく実現を目指す具体的な計画となります。

「逆算型」の基本的な特徴

逆算型には次のような特徴があります。

1│明確な期日入りの目標を設定すると力が湧く
「今年9月の資格試験に合格する」「35歳までに年収1000万円を達成する」「50歳までに世界100か国を訪れる」など明確な目標が力を与えてくれます。

2│詳細な計画を立てると行動できる
もし年収1000万円を目指すなら現在の年収から必要な昇給額を計算し、そのためのスキルアップや資格取得の計画を立て、もし起業を目指すなら、必要な資金や経験、ネットワーク作りなどの細かいステップを思い描いて、行動に移します。

3│進捗管理と計画の調整でモチベーションUP
月末に目標の達成度をチェックし、遅れている部分があれば次月の計画を修正したり、予想以上に進んでいればさらに高い目標を設定したりします。

4│目標に関連する情報を積極的に集める
経営者を目指す人なら経営に関するビジネス書を積極的に読んだり、起業家のセミナーに参加したりします。目標に関連する分野のトレンドや新しい技術についての情報にも常にアンテナを張っています。

5│長期的視点で意思決定をする
転職の機会があった場合、単に給与や待遇だけでなく、その仕事が自分の長期的なキャリア目標に貢献するかを重視して判断します。

6│目標のために自己を律する
目標達成のため、現在の満足を我慢することもいといません。開業資金のために趣味にかける時間やお金を制限したりキャリアアップのために休日も勉強に充てたりします。

逆算型が注意すべきポイント

ポジティブな特徴でも、行き過ぎると好ましくない事態が起きます。逆算型の特徴が暴走すると、次のような問題が起きることがあります。

1│柔軟性の欠如
計画に固執すると、状況の変化に対応できず、良い機会を逃してしまいます。

2│ストレスと不安
目標達成のためのプレッシャーを感じて常に緊張状態にあると、ストレスや不安を感じやすくなります。

3│視野の狭さ
目標に集中しすぎると、関連しない情報や機会を見逃しがちで、潜在的な可能性を制限してしまうことがあります。

4│現在の幸せの軽視
将来の目標達成ばかりに気を取られ、今この瞬間の幸せや楽しみを見逃してしまうことがあります。

5│失敗時の挫折感
目標が達成できなかった際に、大きな挫折感を味わい、自信を失ってしまう可能性があります。

6│燃え尽き症候群
目標達成のために頑張れるのが逆算型のいいところですが、限度を超えて打ち込むと、ゴールに辿り着いた後に燃え尽き症候群になる場合があります。目標を達成できないときばかりでなく、達成しても燃え尽きることがあるので注意が必要です。

本書では、「逆算型」の人が向いている職業や、得意とする状況などについても解説しています。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。