インフラ整備は今後の課題の一つか

 EVの普及そのものは歓迎すべきニュースですが、話が公共の充電設備に及ぶと、事態を危ぶむ人も少なからず現れます。現在は自宅での充電が一般的ですが、これが最善の策ではないことを多くの人が気づいています。

「ロサンゼルス・タイムズ」紙が報じたところによれば、DC急速充電スタンドの設置業者が十分な収益を得るために必要となる充電回数は、1日あたり8~10回とのこと。複数台の充電を同時に行える環境も必要であり、設置業者はそれに足るだけの急速充電器を設置しなければなりません。EVの販売台数が急激に増加している中で、急速充電器の供給バランスを取るのは容易なことではないはずです。

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 サプライチェーンの問題による半導体不足の影響を受け、自動車メーカーは生産の継続か中止かの判断を迫られている現実もあります。これはあくまで憶測に過ぎませんが、EVの注目度と販売価格の高さから、ガソリン自動車よりも電気自動車が優先されている可能性は否定できないでしょう。

 例えばテスラなどは販売台数を公表しておらず、「オートモーティブ・ニュース」やエクスペリアンによる調査結果はあくまで登録データに基づいたものに過ぎません。2022年第1四半期におけるEV販売台数についても、若干異なる数字を発表する調査結果もありますが、いずれにせよ前年比で大きな増加となっているという点については共通しています。何が正確な数字であるかはさておき、アメリカにおけるEVの普及状況に明らかな転機が訪れていることは確実と言えます。

Text by Sebastian Blanco and Ryutaro Hayashi
Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です

米国でEVが新車登録台数の6割まで急増!一方で懸念される「難題」とは