従来の若者市場のように、世代共通のニーズに合ったものを供給していけば市場が切り開ける、というものではなさそうだ。

震災が加速した価値観の変化
シニアに強い「利他」意識

 では、シニア市場を攻めるにはどのようなことが必要であろうか。今後のシニア市場のトレンドを、価値観の持ち方やその変化から読み解いていきたい。

 図4は、2011年mifデータ(2011年6月実施)を用いて、日本人の価値観が震災前後でどのよう変化したかマッピングしたものだ。この図の第1象限(右上)、つまり2011 年6月現在の意識が高く、しかも震災後に増大している価値観に注目すれば、「安全安心志向」、「帰属意識」、「普遍主義」、「慈善」といった「絆志向」にグルーピングできる。これまで日本は都市化や単身化が進み、プライバシーが重視され、地縁・血縁の希薄化が指摘されてきた。今回の震災で、自分のことを本当に心配してくれるのは家族であり、地域コミュニティであることを、多くの国民が再認識した結果、「絆志向」が台頭してきたのであろう。

 一方、第3象限(左下)に位置する「権力」については、アンケート実施時点での意識も低く、震災後に最も減った価値観となっている。「偉くなる」「お金持ちになる」という価値観が廃れていることがわかる。こうした流れをみると、自分自身の幸せ(利己)よりも、他者の幸せ(利他)を願う価値観とみることができる。

 また、図5は2011年mifデータから消費に関する意識を整理したものである。これによると、「流行よりも機能性を重視した商品を買いたい」、「むだな出費はせずに、本当に必要なことだけにお金を使いたい」、「ものを増やさない生活をしたい」という意識が高い。また後者2つについては震災前後での変化も大きくなっている。